「自分の子供がチック症状かもと言われたけど、チック症状ってなに?」と初めて、チック症状という言葉を聞く人も多いと思います。
何となくは知っているかもしれませんが、認知度も低く、なかなか正しい理解がされにくい病気です。そのため、自分の子どもがチック症状の疑いがある場合は、とても不安でどう接したらいいか悩むことでしょう。
チック症状とはどんな病気なのでしょうか、また治療によって治る病気なのでしょうか。
今回は、チック症状の原因、治療などについてお伝えします。
子供の病気、チック症状とは
チック症状は、チック症やチック障害とも呼ばれていて、自分の意志とは関係なく同じ行動をしてしまいます。
18歳未満で一ヶ月以上続く行動があると、チック症状とするとしています。
特に小学校低学年までに発症が多く、子供の人口の10~20%が発症する、決して珍しくはない症状です。
○チック症状は2種類に分けられる
・運動性チック
首をかしげる、瞬きを繰り返すなどの動きを繰り返す
・音声チック
咳を繰り返す、舌打ちをする、奇声を出す、「死ね」「バカ」などの汚い言葉を繰り返す
一見すると癖のようにも見える行動を繰り返しますが、無意識なので注意しても止めることができません。
○発症期間によって程度が分けられる
・一過性チック障害
チックの症状が1か月以上続くが、1年未満で消えてしまう。チック症状の多くは一過性が多く、特に何もしなくても、成長するにつれて症状が消えてしまいます。
・慢性チック障害
運動、音声チックのどちらかの症状が一年以上続き、成長しても症状が消えることはありません。
・トゥレット障害
トゥレット症候群とも呼ばれ、2つ以上のチック症状が1年以上続き、消えることはありません。トゥレット障害は深刻な症状ですが、10000人に5人程度の少ない割合で発症しています。
チック症の原因と治療
○チック症状の原因は脳神経の異常
チック症状の原因は、以前は、家族との関係や親の育て方が問題であるとされ、愛情不足が原因とされていました。
しかし、現在では原因は家族にあるわけではなく、先天的な脳神経の異常があり、何らかのストレスで発症するとしています。
ストレスというと聞こえが悪いのですが、例えば、人前で発表をするときの緊張や、逆に緊張から急に開放されたときに症状が出ることが多いのです。
○チック症状の治療は程度によって異なる
・軽度の場合
チック症状の原因は脳神経の異常ですが、一過性の軽度のものであれば、成長段階の一つとされ、自然に消えていくことが多いです。そのため、神経質に気にしすぎることはありません。
対処、治療法としては、ストレスや不安を取り除くことや、他に興味があるもので気を紛らわすようにすることが重要です。無駄に、チックの症状を叱ったり、止めさせたりすることは、子供の心を痛めることになる、逆効果なので避けましょう。
・トゥレット障害や慢性チックの重度の場合
1年以上、重度の場合は、自然に消えることはなく、周囲の人がチックに対して正しく認識することが必要になります。ストレスや不安を取り除く対処をすると同時に、薬物療法を行うことで症状を緩和させることができます。
チック症は正しい認識と周りの協力が必要
チック症状には、さまざまな問題があります。
○チック症状に対して正しい認識がない
チック症状の原因を家族の愛情不足だと考え、育て方が悪いという考えが残っています。そのため、家族、特に母親は自分を責めたり、気にしすぎるため、子供も過敏に反応して症状を悪化させることになります。
また、脳の障害であり、繰り返す行動には全く意味がないのです。
それを、目の当たりにする周囲はいら立ちが出るかもしれませんが、「やめなさい」というのも無理なのです。
○いじめにつながりや就労に支障をきたすケースもある
実際によくあるケースですが、同じ行動を繰り返すことは、特に子供にとっては異質に映ります。そのため、それを周囲がからかう、いじめの対象になりがちです。
いまだに正しく認識していない教師もいるため、チック症状の子供を叱ることで、さらにいじめの対象になってしまい、ストレスによって症状は悪化しまうことがあります。そのまま成長して、チックが消えないままだと、本人は過剰に気にします。ストレスを常に抱えると、社会に出ることができなかったり、就労に支障をきたすケースもあります。
また、重度のチック症状の子供を持つ家族は、いじめや社会への適応を考え、チックであることを隠すこともあります。
そういったことが、チックの認知度を下げ、正しい理解をできなくする悪循環になっています。
まとめ
チック症状は同じ行動を無意識にしてしまう脳の障害ですが、成長とともに消えていくことが多いのです。
まず、家族がそのような同じ行動を繰り返した時に、過剰に叱らず、成長の一過程だと大きく構えることが大切ですね。
過剰に叱ると、それが一過性のものではなくなるケースもあるからです。そして、社会もチックの症状を正しく理解し、協力していくことが大切ですね。
もちろんチックに関わらず、障害であることをいじめたり、からかったりすることは決してしてはいけないことです。そういった心がけが、思いやりのある社会をつくるのではないでしょうか。